後遺障害

交通事故被害の損害賠償金をきちんと受け取るためには、後遺症の認定をきちんと受けることが重要です。

後遺症認定を受けるには弁護士と主治医が連携して、正しく症状をカルテなどに記録として残していくことが必須となります。当事務所では、弁護士の交通事故の後遺症認定の知識・経験をフル活用することは勿論のこと、交通事故被害に遭われたご依頼者だけでなく主治医とも連携を取って医学的な見地による診断を得て、後遺障害認定獲得に向けて全力を尽くします。

後遺障害の認定獲得のプロセス

交通事故後の診療から症状固定までの治療経過、症状の状況により、後遺障害の認定を得られるかが判断されます。

後遺障害の認定をうけるための4条件

  1. 回復困難な精神的、肉体的、毀損状態の存在
  2. 障害存在の医学的証明
  3. 労働能力の喪失
  4. 当該事故と障害との因果関係

  1. 【回復困難な精神的、肉体的、毀損状態の存在】について
  2. 「回復困難な精神的、肉体的、毀損状態」が交通事故の後遺障害等級に認定できる程度の後遺障害かを判断します。カルテなどの診療経過の書類を中心として判断されます。

  3. 【障害存在の医学的証明】について
  4. 交通事故の後遺障害の等級で認定できる程度の後遺障害だったとしても、それが医学的に証明できるのか、ということです。つまり、被害者の自覚症状だけではなく、カルテ、レントゲンなどの診察資料によっても後遺障害の存在について医学的に証明できることが必要です。

  5. 【障害存在の医学的証明】について
  6. 交通事故の後遺障害で等級に認定できる程度の後遺障害があったとして、それがその案件において、労働能力が喪失したと言えるのかという認定作業です。労働能力の喪失とは簡単にいえば、労働に支障を来すかというものです。症状によっては、「痛みが残るが、仕事に支障を来さないから労働能力喪失はない」と保険会社が争ってくることもあります。

  7. 【当該事故と障害との因果関係】について
  8. 交通事故における後遺障害の等級に認定できる程度の後遺障害があり、その後遺障害によって、その人の労働能力が喪失したと言いたとしても、当該事故と障害の間に、因果関係があるのかという点です。
    たとえば、その後遺障害が交通事故とは別の原因で生じた場合などは因果関係が否定されます。


この4条件を満たして、初めて、後遺障害の等級が認定されるのです。

後遺障害等級認定にあたり重視されるファクター

症状の連続性と症状と検査結果との整合性が証明できるかが重視されます。

この証明は客観的な証明、すなわち医療記録によります。
後遺障害の等級認定で重視されるのは具体的に次の2点です。

交通事故での受傷後の症状の連続性

交通事故発生後症状固定に至るまでの経過で、同種の症状が連続しているか、症状、経過に不自然さや矛盾はないか という点が重視されます。

症状と各種検査所見との整合性

交通事故による負傷による自覚症状が、各種検査結果と矛盾しないか、整合しているかという点が重視されます。医学的にその怪我からそのような症状が出ることが自然かどうか、などが検討されるのです。

後遺障害の併合

後遺障害が二つ以上ある場合は、後遺障害等級を繰り上げ認定されることがあります。
これを後遺障害の併合といいます。併合を表にすると下記のとおりです。

一番重い等級次に重い等級→繰り上げ[併合]
1~5級1~5級 3級繰り上げ
6~8級2級繰り上げ
9~13級1級繰り上げ
6~8級6~8級 2級繰り上げ
9~13級1級繰り上げ
9~13級9~13級1級繰り上げ

後遺障害の併合は複数回行われることがあります。

複数の後遺障害があれば、複数の後遺障害の併合が行われることがあります。

後遺障害の併合の順序は、まず「系列の同じもの」を併合し、つぎに「系列に異なるもの」を併合します。(系列が同じ時は、併合とは言いませんが、とりあえず併合と言います)
どういう後遺障害が同じ系列かは、後遺障害等級表の記載を確認します。
たとえば、交通事故で、右と左の膝に障害が残り、さらに左足に関節機能障害が残った場合。まず同じ系列である左脚の関節機能障害と左脚の膝の障害を併合します。これらの後遺症外は両方ともに後遺障害等級12級ですから、併合して後遺障害等級11級相当となります。次に、右の膝の後遺障害と併合すると、左脚が後遺障害等級11級相当と右脚が後遺障害等級12級ですから、併合して後遺障害等級10級相当となります。ただ、目については、両目で一つの後遺障害と扱うため両目の障害でも、併合は問題になりません。

過去の後遺障害との併合について

後遺障害が同じ系列の場合併合される場合があります。

交通事故以前に既に後遺障害にあった人が、交通事故で、「同じ系列」について負傷し、後遺障害の程度が重くなった場合、過去の後遺障害とも併合認定されます。
たとえば、以前、交通事故で左足関節機能障害(12級)の後遺障害を有していた人が、別の交通事故で、新たに左膝関節の用を廃した場合、右膝関節の用廃そのものは、本来、後遺障害等級8級ですが、以前の後遺障害等級12級と併合認定されて後遺障害等級7級となります。
つまり、同じ系列の後遺障害の場合、後遺障害の時点が異なっても併合認定されます。
なお、後遺障害の部位が別系列の場合でも、組合せを規定しているため同一系列とされている場合も、過去の後遺障害等級と併合されます。たとえば、左腕を手首から失った被害者(後遺障害等級5級)が、新たに右腕を手首から失った場合は、両腕を手首以上で失ったとして後遺障害等級2級となります。

高次脳機能障害との併合について

後遺障害等級の別表1と別表2では、併合認定をしないという規定となっています。

高次脳機能障害で2級認定を受けた場合に、同時に右腕も全く機能しなくなった(5級)場合、併合認定で1級とはなりません。

そもそも後遺障害等級の別表1に該当する後遺障害は、併合認定をしないことになっています。 これは、条文の構造上そのように規定されているからです。それを受けて自賠責保険の賠償では、高次脳機能障害は、併合扱いの対象にしないことになっています。

後遺障害等級の併合の例外

後遺障害等級全体の序列の維持から、行われない場合があります。

たとえば、二関節と一関節の機能に後遺症が残った場合。二関節が後遺障害等級は6級で、1関節の後遺障害等級は8級となります。 通常の後遺障害等級の併合のルールでは一番重い後遺障害等級の6級に、次に重い等級の後遺障害等級8級を併合すると、後遺障害等級は併合により二等級繰り上げて4級になるはずです。 しかしこの場合後遺障害等級は6級に止まります。なぜかというと一つ上の5級には、一上肢全廃という後遺障害があります一上肢全廃というのは、一上肢の機能が完全に失われること、つまり上肢のどの部位も動かせない場合です。つまり。3つの関節の機能に後遺障害が残った場合が後遺障害等級4級でより後遺症として重い一上肢全廃の後遺障害等級5級よりも重い障害認定を受けるという不均衡が生じます。そのため、この場合の後遺障害等級は6級となるのです。

目の後遺障害

交通事故による目の後遺症には、視神経を損傷した場合と眼球自体を損傷した場合の2種類があります。
具体的な目の後遺障害としては、下記のものがあります。

  1. 視力障害(失明・視力低下)
  2. 調節機能障害
  3. 斜視
  4. 視野(1点を見つめているときに同時に見える範囲)障害
  5. 注視野障害(顔を固定したまま目球だけ動かして見える範囲)
  6. 複視(2つに見える)
  7. 瞼(まぶた)の運動(閉じる・開ける・瞬きする)障害

交通事故の目の後遺症として1番重度の後遺症は両目の失明です。1級1号に該当します。
交通事故における目の後遺症として1番軽微なのが、まつ毛の欠損で、14級1号に該当します。
目の後遺症では、症状に応じて色々な等級障害が認定されます。
特に、複視がしばしば問題となります。

なお、交通事故での「むちうち」症状でも、頚部の交換神経影響し、視力低下、目が疲れやすいなどの後遺症となって生じる場合があります。

耳の後遺障害

耳の後遺障害の中で、最も重い後遺障害は、両耳の聴力を全く失った場合で、後遺障害等級4級3号です。
耳の後遺障害の中で最も軽微な後遺障害は、1m以上離れると小声では聞けないという後遺障害で、後遺障害等級14級3号です。

交通事故の耳の後遺症の中で聴力の低下の種類は2種類があり

  1. 音そのものが、よく聞こえないという障害
    (純音聴力障害)
  2. 音は聞こえるけれど、言葉として聞き分けられないと言う障害
    (語音聴力障害)

また聴力の低下以外の後遺症では

  • 耳鳴(幻聴のようなもの)
  • 耳漏(耳から膿が流れ出てくる)
  • 耳たぶの欠損

があります。